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教養を深めるこの2冊を全力で薦めたい

サブカル

 

教養2

タイトルが明らかに上から目線で、あたかも自分はそれなりに見識が深い人間だと自負しているように捉えられるかもしれないが、決してそんなことはない。まだまだです、自分は。 ただ、今から紹介するこの2冊を読んだことで、ちょっと頭が良くなったというか、教養が深まったと感じたのである。

 

教養って言葉は定義が難しく色んな解釈が出来ると思うし、中にはよく意味をわからないまま使っている人もいるんじゃないかと察する。自分もその一人なので。ただ、間違いなく言えることは、"頭が良さそうな人"に対して"教養がある"と形容することは多いということ。

では"教養が深い"="頭がいい"なのかと言われるとどこかざっくりしすぎていて納得いかない部分がある。そんな中、自分の中で定義付けたのは… "様々な事象・議題に対して新たな側面から答えを導いたり、多様な見解を導くための歴史的・文化的知識を持っており、かつ時代の潮流を掴んでいること" これが"教養がある"ということなんじゃないかと思っている。

おそらくこれは合っているとも間違っているとも言えるのだろうけど。とりあえず、以後、今回のこの投稿から"教養が深い"というフレーズが出てきたらこういう意味を孕んでいると感じてもらえれば幸いです。

前振りはここまででいいとして、推薦したい本とはこの2冊。"知の逆転"とその続編"知の英断"である。

 

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まずなぜこの本を手にとったかというと、1作目の"知の逆転"に名を連ねるノーム・チョムスキーという人物が僕にとってのアイドルであるから。アイドルというと変な感じがするが、一種の憧れというか、自分の人生や価値観に影響を与えてくれた人物なのである。学生時代に国際関係や平和学を学んでおり、今後もその道に進んでいきたいなんて野望も持ち合わせているのだが、ここの知識を増やすためにより多くの書物を読もうと、アンテナを張ろうと思ったのが大学入学直後くらいのとき。

 

そこで、某予備校の教授(僕はこの人をだいぶ尊敬している)が"国際感覚を磨くため"(ここまで言うとこの教師が誰か分かる人は分かる。今でしょ!の人ではない)というような切り口で薦めていたのがノーム・チョムスキーの"メディア・コントロール"だった。アメリカ人で一番アメリカを客観的に見ている、という点でも有名。客観的を通り越して批判的すぎるんじゃないかと思われてもしかたないレベルだが。

…というわけでそのメディア・コントロールを買って読んでみたのだが、18歳の自分には色々と衝撃的で、これを読んで以降いい意味でも悪い意味でも世の中の事象を疑うようになったという思い出がある。 少し本題から逸れたが、それ以来チョムスキーというワードには反応してしまうようになっていた。

なので、1作目である"知の逆転"には自然と手が伸びたということだ。 実際に手にとって読んでみた感想としては、チョムスキーの著書をある程度読んでいる人なら「なるほど、これ他のところもでも言っているよね」という感じでリンクできる面白さを感じられると思う。自分もそう思いながら、楽しみながら読んでいた。だが、ジャレド・ダイアモンドやジェームズ・ワトソンの項については180度、見方が変わる。彼ら、つまりチョムスキー以外の人物の章におけるメインテーマは全くもって自分の専門外分野なので、だいぶ脳を刺激されたし、言ってしまえば吸収すべき知識と脳の容量が吊り合わなかったくらいである。

それほど強いインパクトを受けたのだから、本屋でその続編を目にしたら買わない訳がない。こちらも自然と手が伸び、2,3週間前ほどに読了。期待を裏切らない内容であった。 第2作である"知の英断"に登場する人物は、前作同様大物揃い。第39代アメリカ合衆国大統領であるジミー・カーターやフィンランド大統領の経験を持ち国連特使としても活躍したマルティ・アハティサーリらが名を連ねる。と、この2人に共通する点、気づいただろうか。分かる人はすぐ分かると思うが、2人ともノーベル平和賞受賞者である(カーターは2002年、アハティサーリは2008年受賞)。

 

加えてノルウェー初の女性大統領であるブルントラント氏も登場するのだが、つまり世界の紛争問題を解決しようとしたり、人権問題・女性差別問題に取り組むことに邁進した人物が今作品には多い。ネルソン・マンデラについても多く触れられている。何故かは実際に本書を手にとって確認してもらいたい。そしてこのメンバーなら当たり前か、と納得させられうように"反戦""平和""人権"などのテーマで対談が進められている。これは自分が大学時代に研究していた分野とぴったり当てはまるので、のめり込んで読むことが出来た。

 

そういう意味では"知の英断"では自分の既存の知識に"深み"を与えてくれ、"知の逆転"では自分がまだ入っていない領域を知らせて、つまり知識の"幅を広げ"てくれた。共に人類の文化や歴史について言及されているため、この2作品を読んだことで、最初に述べた通り”教養が深まった”のは間違いないと言えるだろう。

 

ただ、正直に言うとこの2作で書かれている内容の6,7割はもう忘れている。読んだ直後は"今すぐにでも誰かにこのことを教えてやりたい"というレベルだったのだが。先に述べたとおり、吸収すべきものが多すぎた。とりあえず、1回でここに記されている全ての事項を頭に叩き込み、自らの血として、肉とするのは無謀である。 年に1度は絶対に読みたい。そう思わせる程度には名作であり、手元に置いておくべき一冊だと自信を持って言える。

 

図書館で借りて読むような"使い捨て"タイプの本ではない。

 

そして最後に、言及しておきたい点がある。この2作品、表紙に並べられているインタビューイーを見て内容の面白さを確信する人はいると思うし、実際に期待は裏切られることはない。だが、それ以上にインタビュアーが素晴らしい。吉成真由美さんという人物、恥ずかしながら"知の逆転"の際に初めて名前を目にしたのだが、恐ろしく教養が深い。

異なる分野の巨匠達に対して1対1、ないしは1対2の対談で台頭に渡り合い、核心を突く質問を貫徹している。職業上、サッカー選手をはじめとしたアスリートにインタビューをすることが多いのでわかるのだが、質問する際に背景知識があるに越したことはないし、その有無が実際に質問をぶつけるときの自信に影響してくるもの。

それに、問いかけの質はかなり重要で、その人の思想を深堀りできるかどうかにかかってくる。この2点に関して吉成さんの脳内に暗雲はない。 聞き手の重要さをこんなに強く感じ取れたのは久々である。だがそもそも、2冊とも300ページ前後と一般のものより少し厚い程度の新書にこれだけの情報量を凝縮できる時点で、インタビュアーと編者が只者ではないことはわかる。 語り手と聞き手がここまで高いレベルで渡りあう対談集は、そうそうないと思うので、ぜひ手にとってほしいものだ

。繰り返しになるが、手元に置いておくべき、家に一冊、教養を深めたい人は必須の書。 初の書評(と言えるのだろうか)。もちろん、サッカー以外のことも発信していきます。 では、今日はこんなところです。

 

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