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風間サッカーにおける「passion」の必要性

サッカー



「風間さんが筑波から失くしてしまったのはパッションの部分だと思う」

3年前くらいだろうか。本格的に自分が関東大学サッカーの取材を始めた頃の話だ。たつのこフィールドの観客席の後ろで、
某大学サッカーの関係者が語っていたのがこの言葉なのだが、妙に納得した自分がいた。

というのも、筑波のサッカーを見ている人に湧いてくる感想というのは「技術レベルがある」「パスサッカー」「ダイナミックな展開がない」というのがほとんどだと思うのだが、それに加えて「静か」という印象を持つ人も多いだろう。自分もその一人だった。かつての日本代表に例えて言うなら故・松田直樹さんや闘莉王選手など、試合中に観客席にまで聞こえそうな声や熱気で味方を鼓舞するような選手が、筑波にはいない。”大人しさ”が目立つチームであり、良く言えば”冷静沈着” 悪く言えば”闘争心に欠ける”というようなチームだったように思える。

ゆえに、”ここ一番”の試合で踏みとどまれずに勝利を取りこぼすというような場面が見られたことが印象深い。清水エスパルスの八反田康平や水戸ホーリーホックの石神幸征が4年生だった2011年度、前期は首位で折り返したにかも関わらず(確か)終盤に失速してリーグタイトルを逃した。そして今シーズン。引き分け以上で残留をほぼ確定させることができるという有利な状況で迎えた最終節、残留を争う中大との直接対決でも先制をしながら追いつかれ、91分に逆転弾を許して創部初の二部降格という憂き目にあった。現場を取材していた身としては「何が何でも残留してやるんだ」という気迫みたいなものは中大が勝っていたと思うし、それが結果に反映されたと言っても過言ではない。風間監督に言わせると”実力不足”と片付けられるのだとは思うが…。突き詰めれば、いくら強いモチベーションで、それこそ”死ぬ気”で対戦相手が勝負に挑んできたとしても、それをものともしない技術力を付ければ良いというのが風間さんが目指す部分なのだろう。

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ただ、それを実現するためには、相手のモチベーションの最高値と対峙する自チームの実力の最低値の差をかなり広げなければいけないと思うし、ここの差が狭ければ狭いほど、”技術”が”気持ち”に逆転される可能性は高まるものだと自分は考える。つまるところ、圧倒的な技術の高さを持っていても、それを出しきれなければモチベーションの高い相手に足元を掬われてしまう。等々力において9年ぶりの敗戦を喫した今季第31節の清水戦なんてまさにそうではないだろうか。後半戦になかなか結果が出せない要因として風間監督は「”できる”ことがわかってしまった」と語っていたが、つまり自分たちのサッカーがハマれば圧倒できることがわかった結果、さらなる向上心にブレーキがかかってしまったのだろうと察する。

だが、そのような”緩み”はもう決して見たくないし、タイトルを目指すとなればなおさらだ。そういう意味でチームの選手達が本調子に乗りきれない時、実力を出しきれていないときに、ピッチ内で意識の改変を促すことができるリーダー的存在は必須になってくる。相手が高いモチベーションを武器に技術の差を埋めようとするのであれば、こちらもメンタルの面で水をあければ良い話。しかし、先に述べたように、自分が見てきた”風間筑波”にはそういった選手がいなかった。

ではフロンターレはどうか、というとFWには大久保嘉人、MFには中村憲剛がいる。そして来季より仙台から角田誠が加わるのだが、彼にはそういった面での影響力を期待したいものだ。ジェシやパウリーニョという闘争心溢れる守備的な選手がいなくなった川崎Fにとって、彼の加入は大きいし、”闘争心”を体現する選手が最前線(大久保)と最終ライン(角田)にいればチームも引き締まるだろう。高い技術を持ち、かつメンタル面でも”闘”える。そんなチームになれば自ずとタイトルは近づくはずだ。そういう意味で、来季のフロンターレの1つのテーマとして”パッション”という言葉が鍵になるのでは、と思う。あまりメンタル面を勝因や敗因にしたくないという思いはあるけれど…

本日発売のエルゴラにもそのことについて書いておりますので、ぜひ手にとって読んで頂ければ、嬉しい限りです。

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では、今日はこんなところです。

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