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40分間で見せた三笘薫の成長と、フロンターレ”らしさ”

サッカー

 

茨城県予選の決勝の取材に行ってきた。天皇杯の出場権がかかったここの争いはたいてい、流通経済大学と筑波大学の争いになる。もしくは流通経済大学VS流経大系列のチーム(クラブ・ドラゴンズとか)。今年は前者になった訳だが、試合自体は120分間を戦ってスコアレスドロー。7人目まで進んだPK戦で筑波大学が6-5で勝利。来週27日に厚別にて行われるコンサドーレ札幌ととの挑戦権を手にした。

「お互いに大学のトップクラス同士で好ゲームができたんじゃないかなと。0-0でしたけど、お互いに攻めるところは攻めて、体を張って守れていた。素人ながらに見ると0-0の試合ってなかなか評価しづらいですけど…」と流経大・中野雄二監督は語っていたが、確かに好ゲームだったと思う。前半は完全に流経大ペースで、好守のプレー強度で筑波を圧倒し、相手のパスワークを封殺。筑波はなかなか攻撃に枚数をかけられず、苦しんでいた。後半に入ってじょじょにペースを掴み、交代出場の選手がチームのギアを上げていった。その交代出場の選手でひときわ目を引いたのが、84分に投入された三笘薫だった。

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スピリットオブジーコ

 

圧巻の40分

三笘は川崎Fの下部組織出身で、トップ昇格してもおかしくなかった逸材だ。大学サッカーにおける”良い選手" "Jリーガー候補生" の基準として”1年生で試合に出ているかどうか”という部分が挙げられると個人的に思っているのだが、今春に入学した彼はすでにトップチームのメンバーに安定的に入っている。わざわざ鹿島に行ったのだし、自分の担当チームの下部組織が生んだ選手の成長を目に焼き付けたいと思っていた。そういうこともあって投入されてからの彼の一挙手一投足をしっかりと追い続けていたのだが、贔屓目なしに、この試合に出てきた選手の中でもトップクラスの存在感を発揮していたと思う。(他に良かった選手をあげるとすると、流経大の日高、安芸。筑波の戸嶋、中野あたり)

40分足らずの時間で見せた彼のプレーからは、高校時代に見たそれよりもインパクトがあった。敵味方問わずピッチ上には年上で経験豊富な選手がほとんどである中、誰よりも堂々と、自信をもってボールに触っていたし、相手を剥がす動きは一級品。いわゆる今の”フロンターレっぽさ"を体現していた。そしてハイライトは投入直後のプレー。

センターサークル付近でボールを受けると、流経大の塚川孝輝が喰いに来たのだが、その塚川の股を抜いて交わすと、ファールと警告を誘った。

ちなみにこの塚川は1年時から流経大で試合に出場をしていて、来季からのファジアーノ岡山内定が発表されている選手。広島にも練習参加をしていた。トップコンディションとは遠かったが、それでも大学リーグで数多くはないJ内定の選手を手玉に取ったあのシーンに、会場は大いに沸いていた。そして、延長前半には左サイドのライン際から中央に侵入し、ペナルティエリアやや外で藤原雅斗からファールを受ける。藤原には先の塚川と同じように警告が提示された。ただ、このシーンに関してはファールをしてでも止めなければGKとの1対1。藤原のファールも致し方無い。ちなみにこのFKはポストにあたってゴールとはいかず。この日最大のビッグチャンスだった。

冒頭で明かしたようにこのままスコアは動かず、PK戦で筑波が6-5の勝利を収めた。三笘は6番目のキッカーとしてしっかり成功を収めている。勝利の立役者となったわけではないが、初めて見るものにも印象に残る程度には好プレーを見せた彼の声を聞かない理由はないと思い、試合後に話した。以下、三笘とのやりとりである。

 

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-投入直後かららしさを出せていたが。
イエロー、出させましたね(笑)自分が入って流れを変えたいというのはあったので、自分から仕掛けてチャンスを作ろうということは思っていました。

-自信を持ってボールを受けていたのがすごく印象的だった。
それはユースからやっていたことですし、ボールを持つということに対して自信はすごくあるので、そういうところでチームの助けになることができれば良いのかなと思いました。

-股抜きのシーンは見事だったね。
そうですね(笑)あそこは股を開いていたので、パッと出てきました。ボールを受けたとき、そこで見えたことに対して何かはやると。それがいいときもあれば悪い時もあるので…。状況判断をもっとしなければいけないかなと思います。

-1年目で出て戦える自信と手応えはあると思うが、大学に入ってみて足りない部分は感じる?
そうですね。まだまだフィジカルは弱いですし、90分走る体力もまだ付いていないので、基礎的なところからもっとやっていきたいです。

-逆に途中出場だったら、これくらいはできる、と(笑)
でも、もっと最初からこういうプレーをやって、点を決められるように、勝たせられるような存在にならなければいけないなと思います。

-天皇杯で勝ち進んだということに関しては?
プロと戦えるので。1番いい相手ですし、J2の首位に立っているコンサドーレが相手なので、そこで自分のいいプレーを出してチームに貢献できれば良いかなと思います。稲本さんも福森くんも練習試合ではやっていましたし(笑)

-フロンターレには戻ってきたい?
はい、もちろん戻りたいですね。

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とにもかくにも最終的にはフロンターレに戻ってきたいと言ってくれたことは非常に嬉しいしホッとしたというのが正直だ。とはいえ自分がいつまでこのクラブに関わるかはわからないのでこんな"中の人"みたいな発言をするのはどうかとも思うが。

いずれにせよ、充実した選手生活を送れているようだった。来週の天皇杯でも出番は来ると思うので、札幌相手にどこまでできるかを楽しみにしたい。

 

では、今日はこんなところです。

 

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