❏引き分けも、ポジティブに捉えたい
日本時間で言うところの一昨日の朝、五輪のグループリーグ第2戦に臨んだU-23日本代表は2点ビハインドから追いつき、突破に向けて首の皮一枚繋がった。ものすごく良い試合をしてくれたし、希望が見える内容だったと思う。結果、勝ててないのは痛いといえば痛いのだが。
ただ、それよりも2点を取り、3,4点目が取れるチャンスが大いにあったことをポジティブに捉えたいと思う。3枚の攻撃的なカードを切り、相手を仕留めにいった姿勢も”怖さ”があった。
サッカーは、点を取れなければ勝てない。そういう観点でいえばコロンビアという強国相手にあそこまでチャンスを創出できたことは前向きに捉えて良い。彼らの世代が世界大会の経験がないことを考えると、なおさら。
その中でビッグチャンスが生まれるきっかけとなったのは、大島僚太と南野拓実のW投入だったと思う。初戦で4-5の敗戦となった中でもモノの違いを見せつけた2人が自身の持ち味を発揮することは、相手が消耗しているという状況を考えれば、容易いことでもあったのだろうと察する。そして、反撃の狼煙をあげる浅野拓磨のゴールは彼ら2人から生まれた。
そしてこのゴールを見て思った。「すごく、フロンターレっぽいな」と。”風間監督が求めていることっぽい"というのが正しいか。あれだけ相手守備陣の枚数が揃っている中央に縦パスを入れる大島僚太のプレーも、密集地帯で周囲にいる中でミスせずしっかりとボールをコントロールして浅野にはたいた南野拓実のプレーも、技術と判断のレベルが高水準になければできない。そして、ある言葉を思いだした。
つい1ヶ月前、五輪代表と川崎フロンターレにおける大島僚太の出来について記者から言及があった際に、風間監督がさらっと口にした一言。それは「こことはフリーの定義が違うから」というもの。
❏「フリーの定義」の違い
”フリーな状況"の定義を一般化するのは少々難しいが、例えば自身がボールを受けようとしてその50cm以内に相手DFがいれば、それを"フリー"と見る人は多くはないだろうし、出し手としてもボールを渡すのをためらう可能性がある。ただ、風間監督率いる川崎フロンターレにおいては、その状態でも正確な技術でプレーをすればボールを繋げるし、簡単には失わないという共通認識がある。ただ、これは日本のサッカーでスタンダードにはなってないと思うので、この攻撃を受ける相手からすると「え、この状態で出すの?」「ここで受けるの?」という驚きの連続が続く。多くのクラブはこの光景に慣れてきたと思うが(抑えられるかは別として)。
そして、あの得点シーンに関して言えば、出し手と受け手が上に記したような認識を同時に持ち合わせていなければ出来ない。大島僚太がボールを渡したい前方の味方のすぐ背後にDFがいる中で「正確にボールを付ければコントロールしてくれる」という信頼と確信を持って出せるか。そして、受け手である南野拓実が自身の近くに相手DFが複数人いる中でも「これくらい相手と距離があればコントロールできるから俺に出せ!」と思って受ける準備をできるかどうか。つまるところ”南野拓実がフリーである”ことを2人して思えるかが重要で、実際に南野と大島があの状況を窮屈に思わなかったからこそ実現したゴールなのだと思う。
もちろん、最終的にネットを揺らした浅野拓磨の左足も素晴らしかった。こういうテクニカルなゴールを次のスウェーデン戦も見たいと思うし、こういう形がスタンダードになれば、もっとサッカーの魅力を感じてくれる人が増えると思う。だからこそ、2人には次の試合にも期待をしたい。
余談だけど、この2人といえばこんなことがあった。もう昔の話です。
では、今日はこんなところです。
コメント